Problem / Tube number
2020-
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Oil on canvas
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この作品では、様々な国に拠点を置く絵具メーカーが製造・販売する、まったく同じカラーネーム(=value)が付けられたチューブを対比している。
例えば、動物の骨から作られる黒色顔料《アイボリーブラック》で構成 された2枚の平面。ふたつのアイボリーブラックが内側と外側で反転した構図で塗り分けられている。艶の様子によって見える色味が微妙に異なっていることがわかるが、その境界にはそれぞれの絵具の品質の差によってぼんやりとした滲みが生じている。これは、基となる顔料の品質とオイルの配合比の違いが原因である。
工業製品として絵具を考えた場合、その品質は原材料の品質や価格、製造・輸送コスト、販売価格など様々なバランスによって決められる。たとえ基準色が同じであっても、それぞれのメーカーがまったく同じ製品を作ることは無理に等しいだろう。
しかし、ひとつのカラーネーム(=value)が定義されているものを私たちは当然のように同じ色だと思い込んでいる。一方で、いま目の前にあるふたつの色彩は、微妙に異なるが故に別の色だと判別する。単なる顔料とオイルという物質の配合物なのか、もしくは製品化された概念としての色彩なのか。物質や現象とは本来不安定なものであり、その上に設定されている価値や基準とはひどく曖昧である。
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